現役引退を伝えた時の息子たちの反応
――J1リーグ通算191得点という歴代最高記録を誇り、日本最強のストライカーとしてサッカー界を牽引してきた大久保さん。2021シーズンをもって、20年間の現役生活に終止符を打つことになった。
嘉人 引退を決めたのは11月16日。車の中で来シーズンのイメージをしていたらまったく思い浮かばなかったんです。20年間という現役生活で、もうすでに体も心も使い切った感じがしていた。以前にも引退という言葉が頭をかすめたことはあったけど、ピッチ上で自分が納得するプレーができたら決断しようと思い描いてて。セレッソ大阪ではほぼスタメンでピッチに立てたし、6得点も上げた。ここが決め時かなと。すぐに莉瑛に電話しました。「決めたわ」って。
莉瑛 以前にも「引退しようかな」なんて口にしたことはあったけど、今回の口ぶりで決意の固さがわかった。ただ、メディアに発表する前に、自分の口から子どもたちに話してほしかったので、横浜の自宅に帰ってきてと頼んだんです。忙しいのに帰宅してくれました。
嘉人 家族全員が揃ったのは午後10時ぐらい。息子たちは僕と橙利がいることにびっくりしていたな。「話があるのでそこに座れ」と言ったら、息子たちは「え、何、5人目? 女の子?」って。(笑)
莉瑛 そこ? と思った。(笑)
嘉人 引退することを伝えたら、長男は泣いて、次男、三男は黙りこくった。四男はあまり意味がわかっていなかったみたい。
莉瑛 でも、引退するということは、パパがずっと家にいることだとわかり、みんな喜んでいましたね。特に末っ子が。
嘉人 引退後はどんな活動をするかまだ決めてないんだよね。
莉瑛 サッカーはどうするの?
嘉人 サッカーの解説やテレビ出演の話もいただいているので、まずはそこから。ありがたくも、サッカー関係者には、指導者になってほしいと声をかけてもらっています。でも、ライセンスを取るのに5年ぐらいかかるから。単身赴任の経験をまとめた本が好評なので、〈男親の子育て〉ジャンルで新分野を広げてみようかな。(笑)