宇宙飛行士と筋肉

程度の差こそあれ、無重力の空間から地球に帰還した宇宙飛行士が、支えなしには歩けなくなっているのと状況は似ている。

宇宙飛行士の油井亀美也氏が、帰還直後の生活について、「私はスーツを脱ごうとして、頭を前に傾けた時に、首と背筋で頭の重さを支えるのを忘れ、前のめりに頭を地面にたたきつけそうになりました」と語っていたのが印象的だ。

したがって、宇宙空間で宇宙飛行士が筋力トレーニングを怠らないのと同じように、入院中はリハビリが重要になる。可能な限り意識的に歩いたり、手足を動かしたりする必要があるのだ。

病院では、多くの人が毎日病棟の廊下をゆっくり歩いている。生活力を維持するために、必須の運動なのである。

※本稿は、『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険』(著:山本健人/ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。


『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険』(著:山本健人)

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