小説の発売日にコロナに感染
短編25本を書き上げたところを区切りとして今回出版するに至ったけれど、コロナ禍はずっと続いています。
小説を書き終わった今も、次はどういう変異株が出てくるんだろう、これからはどんな行動様式になるんだろうとずっと考えています。
だから、この小説をちょっと恨んでもいるんです(笑)。そうやって、題材のひとつとしかコロナを見ていなかったせいで、僕はコロナに対する感情がほかの人とはちょっと違う。あくまでコロナは題材であって、それ以上の感情がないというか…。
ちょうどこの本の発売日、僕はコロナに感染したのですが、その時も真っ先に思ったのはデータを取らなくては!ということ。
実際に自分が罹って、気づいたこともあります。コロナが出始めの頃は、陽性となって仕事を休んだ芸能人、有名人の方や所属先がホームページやSNSで謝罪をしていましたよね。
途中から世論も「悪いことじゃないのだから、謝るのはやめましょう」と空気になっていきましたが、僕は最初から「謝るべきじゃない」という考え方だったんです。
でも、いざ自分が陽性になって仕事でたくさんの人に迷惑をかけてしまうと…申し訳ないという気持ちがわいてきて、謝る一手しかなかったですね。
あと、僕はコロナに罹る前まで、東京都の対応について、不適切なのではと思う部分が多かったんです。
でも、うちさぽ(自宅療養サポートセンター)という自宅療養中の人が希望すると体調について相談にのってくれたり、食料品などを送ってくれたりするサービスを利用して、いろいろなタイプの食材や飲み物が段ボール2箱で届いた時に、「ありがとう東京都」ってすごく思ったんですよ。
税金を払ってるんだから当たり前、という考え方もあると思うんですが、それでもやっぱりありがたいな、と。