62歳で勝ち星をあげた女性騎手、ウェイマウス騎手勝利の瞬間(写真:『世界の中心で馬に賭ける-海外競馬放浪記』より)
競馬に関する著作を多く持ち、グリーンチャンネルやBS11の競馬番組、ペーパーオーナーゲームの”赤本”『POGの達人』でもおなじみの競馬評論家・須田鷹雄さん。約30年の評論家歴で訪れた競馬場はアジア、オーストラリア、中東、ヨーロッパ、アメリカなどで150近くにも及ぶそう。その中でも印象に残っているひとつがオーストラリアの競馬カテゴリーの一つ、「ピクニック」。賞金も安いし、レベルが高いと言えないけれど、独特の雰囲気が漂っているとのことで――。

オーストラリア競馬について

オーストラリアの競馬は3つのカテゴリに分けられている。

大レースも行われる主要場での開催がメトロ、地方や下級条件戦で行われるのがカントリー。その中間に位置づけられているのがプロヴィンシャルだ。一部の州ではプロヴィンシャルと言わず、カントリー場の中にニュアンスの違いがある。

人馬のレベルとしてはメトロ、プロヴィンシャル、カントリーという並びだが、実はもうひとつカテゴリがある。「ピクニック」だ。

いきなりほのぼのしたネーミングだが、このピクニック開催はアマチュア騎手しか参加できない開催なのである(馬は一般開催で走っている馬でもOK)。

賞金も安いしレベルが高いとは言えないが、その代わり関係者にもお客さんにも「とにかく競馬が好きで好きで」という雰囲気が漂っている。

騎手はアマチュアだが中にはキラリと光る技術を持つ人もいるし、仕事や子育ての関係で専業騎手は目指せないけどとにかく競馬に乗りたい、というような人もいる。全体的に負担重量が重いので、体格的な問題から職業騎手になることを諦めた人がアマチュアとしてレースに乗ることもあるようだ。

『世界の中心で馬に賭ける-海外競馬放浪記』(著:須田鷹雄/中央公論新社)