昔は金星を「まぐれです」と言っていた
千秋楽は、貴景勝が正代と対戦する。貴景勝が負けると、3大関全員が来場所はカド番となる。来場所の見どころは、大関の誰が最初にカド番を脱出するかになってしまう。
御嶽海は腕や胸の上あたりを痛めた、正代は立合いが悪く精神的な問題がとか、貴景勝は首が悪いとか、NHKのアナウンサーはいろいろ言っているが、3人揃って星が悪いので、解説者たちは「みんな何処か痛いんですよ」などと言い、同情をしてくれなくなった。
横綱と大関に勝った金星獲得力士は、取組後にインタビューされるが、私が子どもの頃は、勝った力士は上位の力士に敬意をはらい「まぐれです」と言っていた。近年は「まぐれです」は死語である。上位が崩れるので、かえって嫌味になる。大関の金星配給を来場所は止められないものだろうか。
これは、忙しい人にも困った問題である。
私は、自宅から通勤に2時間かかる会社に勤めていた時、一人で認知症の母と兄の面倒をみていた時期がある。母も兄もモノがなくなったと騒ぐのは当たり前で、部屋に生ゴミが散乱したりもしていた。休日でも幕内の相撲を全部見ることができず、横綱と大関の相撲だけ見れば満足だと思っていた。
現在は平幕も優勝争いに参戦するので、幕内全部を見ないと面白くない。時間のない忙しい人には困ったものだ。そして、番付通りの強さを求める長年の相撲ファンは、腹立たしくても、頭を切り替えなければならなくなった。
私は、後半戦の誰が勝って、誰が脱落したかの生き残りバトルがややこしくて、覚えられない。混戦相撲によって脳が衰えていることを思い知った。