老松 北野店「御所車」

白くやわらかな落雁に、車輪の文様がひとつ押された端正な菓子。

落雁は米粉に水飴や砂糖を加えて練ったもの。ふんわりしっとりとしていて、口に入れるとホロリと崩れます。中にやわらかな粒あんがたっぷりと入っていて、小豆の香りがひろがるのも魅力です。

御所車は、平安貴族の交通手段だった牛車のこと。現在では5月に行われる葵祭でその姿を見ることができます。

平安朝の装束を纏った人々が、京都御所から下鴨神社と上賀茂神社へ向かう行列は都の風物詩で、『源氏物語』にも登場します。

いにしえより都人たちに愛された新緑の祭を彷彿させる優雅なひと品。型物で押した姿のために干菓子と思われがちですが、生菓子ゆえ早めにいただくことをお勧めします。