骨を丈夫にし、背を伸ばすのに必要な食べ物とは

さて、牛乳に話を戻すと、牛乳はカルシウムが豊富なばかりでなく、吸収されやすい形であることが、骨を丈夫にするというイメージにつながっています。

「骨を丈夫にするためにはビタミンDやビタミンK2が必要です。さらには、タンパク質やリン、マグネシウムも必要」(写真提供:Photo AC)

牛乳中のカルシウムの一部は、吸収されやすいカルシウムイオンの状態で含まれています。また牛乳のタンパク質カゼインはカゼインミセルというコロイド粒子と呼ばれる形で存在し、やはり吸収されやすい形で含まれています。

さらに、乳糖など吸収を助けている成分も多く含まれています。そのため、カルシウムの吸収率は、野菜が約19%、小魚や海藻が約33%であるのに対し、牛乳は約40%と高いのです。

骨を丈夫にするためには、カルシウムの吸収を促すビタミンDや骨への沈着を促すビタミンK2も必要です。さらには、タンパク質やリン、マグネシウムも必要となります。

ですから骨を丈夫にして背を伸ばすには、牛乳のほかに、ホウレンソウなどの緑黄色野菜、小魚、納豆なども食べることが大事です。

超高齢社会の日本では、ますます骨粗鬆症予防対策が大切で、これらを積極的に摂ることが推奨されています。

※本稿は、『本当に役立つ栄養学―肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』(講談社)の一部を再編集したものです。


本当に役立つ栄養学―肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』(著:佐藤成美/講談社)

体にいい、悪いで語られがちな食べものについて、多くの人がわかっているようでわかっていないという実態を感じ、食の科学を理解し、正しい情報の受け取り方ができるようにという思いで執筆した1冊。栄養学的な面と、複雑な体の代謝のしくみをなるべくやさしい言葉で解説します。食品によっては、時代的背景も関係していたり、健康ブームの空気にのって「良い食べもの」になっているものも。食と代謝はまだまだ解明されていないことも多いのですが、わかっていることをクリアにしながら、誤った認識に陥らない方向を示します。