心の不調が体に表れる「未病」

安藤 私の場合、心は元気なつもりですが、体のあちこちに不調が出てくると、心も侵食されて弱ってくるような気がして。

高尾 「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があるように、間違いなく心と体は繋がっています。持病があるとか、健康診断で数値が悪かったわけでもないのに、「なんだか体がだるい」「よく眠れない」と不調を訴える人が実はとても多い。これを東洋医学では「未病(みびょう)」と呼んでいます。その多くは、心の不調が体に表れている状態なのです。

安藤 私も40代後半からずっと未病だった気がします。

高尾 未病の裏にあるのが、「ホルモン」「自律神経」「免疫」などの問題。これらはすべて、心身の働きに影響を及ぼします。ホルモンの影響を受ける代表格といえば更年期。女性ホルモンの急激な減少や、そのことによる自律神経の乱れで、疲労感、イライラ、肩凝りなど、さまざまな症状が出てきます。

安藤 私の場合、ちょうど更年期に母の介護が始まりました。同居してお世話をしていましたが、次女(女優の安藤サクラさん)はまだ中学生で。日々やるべきことが山のようにあり、自分の体を気遣う余裕なんてまったくありませんでした。

高尾 介護や子育てが更年期と重なるケースは少なくありません。安藤さんも大変でしたね。

安藤 夜中も2時間ごとに母のおむつ替えや痰吸引をしていましたから、満足に寝る時間もない。当然、疲労はたまりますし、首も肩も凝って、亀の甲羅みたいに、背中に重いものがいつも張りついている感じでした。