更年期、アフター更年期に出やすい症状
高尾 安藤さんのように、頑張り屋で真面目な人ほど更年期の症状は重く出がちなんですよ。
安藤 実は忙しすぎて、更年期を自覚することも、閉経がいつだったかも覚えていないんです。そんな過酷な生活を続けていたら、50代後半にメンタルの不調が表れました。
高尾 どのようなことですか?
安藤 よく覚えているのは、母の晩年、夜中に窓の外を見ると庭の木から「ここにおいで、楽になるよ」と声が聞こえて。庭に出ようと、ふと時計を見たら深夜2時。母の痰吸引をしなきゃ、と我に返ったのです。
高尾 まさに、うつ症状ですね。
安藤 母が亡くなった後も、気力が失せて何もやる気がしない。喜び、悲しみという感情が湧いてこない。本来の私は涙もろいのに、親しい人のお葬式に行っても涙が一滴も出ませんでした。完全に「うつ抜け」を自覚したのは、5年ほど前です。
高尾 安藤さんの場合は介護に子育てなど、いろいろな要素が重なった結果だと思いますが、うつは更年期や、その後のアフター更年期に出やすい症状のひとつでもあります。
安藤 やはり、女性ホルモンと関連があるのですか?
高尾 エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンには心を安定させる作用があって、分泌が減少するとイライラや落ち込みといった症状が出る可能性はあります。ただ、それだけではなく、環境によるストレスの影響のほうが引き金としては大きいでしょう。