ドラマで登場した「アセクシャル」という言葉

ドラマは初めから終わりまで、恋愛至上主義、「セックスして一人前」という価値観を押し付けまくる内容だった。

主人公は27歳で恋愛未経験なのだが、友人たちから「高齢処女」とからかわれるなど、恋愛経験がないことをひたすら嘲笑して、それに対してなんのフォローもない展開だったのだ。

そして結局恋を知って人生ハッピーみたいな展開をしてきたのに、恋を押し付けてきた人物にいきなりアセクシャルという言葉を言わせた。

視聴者からは、
「アセクシャルは、〈これ言っとけば多様性オッケー〉みたいなバランスとるための言葉ではない」
「雑にぶっこみすぎ」と非難囂囂だった。

そして正確に言うと、恋をしない人はアセクシャルではなくアロマンティックである。

アセクシャルは他者に性的に惹かれないことをさす。

なにもアセクシャル・アロマンティックをアンタッチャブルにしろということではまったくない。むしろ、アロマンティック・アセクシャルを扱う作品はほとんどないため、何気なく登場する作品が増えてほしいと思っている。

しかし、いままで恋をしない人がないものにされてきた歴史を考えれば、少なくとも今の時点でとりあえず登場人物にそのワードを言わせておけばオッケーみたいなものではないはずだ。

SDGsって言っとけばとりあえず意識高く見えるよね、これ言っとけばトレンドカバー!みたいな軽さと短絡さが透けて見え、顰蹙を買うのも無理がない。

(写真提供◎写真AC)