高過ぎる目標を立てているのかもしれないと

転院当初はこのような状態でしたから、僕が目指している単身赴任や講演、そして職場復帰について、リハビリスタッフの人たちは「実現はかなり難しいのではないか」と考えていたそうです。復職したい理由はよくわかるけれども、目標が高過ぎるというわけです。

復活を果たして笑顔を見せる出口さん(写真提供:(C)講談社)

脳卒中になってそれまで動いていた身体が動かなくなり、話せなくなってしまうと、基本的にはもうあきらめてしまう人が多いのですが、逆に厳しい現実を理解できずに、とてもかないそうにはない目標を立ててしまうケースもあるそうです。

僕については現実を受け止めきれずに、高過ぎる目標を立てているのかもしれないと、リハビリスタッフは懸念していました。

復帰への具体的なプロセスを考えても、現状と目指す目標との開きが大きければその分、他の人の何倍もリハビリを頑張らなくてはなりません。それが、病気で弱っている僕にできるかどうか。

仮に復帰できたとしても、倒れる前のように単身赴任して一人で暮らしていたら、何かアクシデントが生じたときに助けられない事態が生じかねない、との懸念もあったそうです。