ホームドラマであり、社会派教育ドラマでもある

トラコには訪問先との約束事が3つある。(1)教員方針には絶対口を出さない(2)授業中は部屋を絶対にのぞかない(3)授業の日はその家に泊まる――。最も変わっているのは家に泊まるところだが、家庭環境を把握するためだと思えば理にかなっている。家庭環境に問題があると学習がはかどらないのは書くまでもない。

授業料は訪問先の家庭が決める。これも特異だが、親の教育熱を測るためだと考えれば合理的だ。トラコは「国の予算と同じように、限られた財源の中から生活費や教育費を決めるのは親だから」と説明した。親がどれだけ受験に真剣なのかを見ている。

(写真提供◎photo AC)

良質のホームドラマであるものの、現代が投影された社会派教育ドラマにもなっている。奥が深い。

母親役を務める美村里江(38)、鈴木保奈美(55)、板谷由夏(47)の演技も見どころ。3人とも演技巧者として名高い人である。この3人の演技が1度に楽しめるのは贅沢だ。

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