Snow Manの《沼》に落ちて
夫を亡くした後、祐美さんに看護師への復職を勧める人は多かった。病院という場所には夫の思い出が多すぎて、足を向けること自体がつらい。
しかし、元気を取り戻すうちに気持ちも変化していき、46歳になった祐美さんは再びクリニックで働き始めることにした。そこで事務職員をしていたのが、もう一人の友人である18歳下の沙耶さんだ。
「年齢も職種も違うし、最初はあまり接点がなかったんです。でもある日、沙耶ちゃんが野球好きなのにテレビ観戦しかしたことがないのを知って、由香里ちゃんのときのように『ドームに観戦に行こうよ』と誘ってみたら親しくなりました。
私は一人暮らしで、彼女は実家暮らし。家が近いこともあって、沙耶ちゃんのお父さんが作った野菜を分けてもらったり、いまや家族ぐるみのおつきあいです」
そんな沙耶さんと、2年ほど前から新たにハマっているのが、アイドルの「推し活」だ。
「テレビを観ていたら、たまたま出演していたアイドルグループのSnow Manに目が釘付けに。YouTubeを片端から見てすっかり虜になり、沙耶ちゃんにも勧めてみたんです」
もともとSMAP好きだった沙耶さんも、Snow Manの《沼》に落ちた。「二人でファンクラブに入り、職場の休憩時間に『昨日のテレビ観た?』『新曲いいよね!』なんて、高校生のような会話をしています(笑)。
ツアーのチケットがなかなか取れないので、先日は家でDVD鑑賞会を開きました。マスクと換気で感染対策を厳重にして、団扇やペンライトを振りながら観たら、もう最高に楽しくて!」