『いつになったらキレイになるの?~私のぐるぐる美容道』(田房永子・著/扶桑社)

私自身、毎日メイクを完璧にできないならすっぴんに近い状態をみんなに見せるべきだ、みたいな今思えばよくわからないこだわりを持っていた。

だけど、メイク動画のYouTuber たちは「すっぴんからいかに激変するかということ」に一番の価値を置いている。

もはや、もともとのすっぴんがメイク後みたいな顔立ちの人が、すっぴんがゆがむように見えるフィルターをかけて、そこからのメイク後のギャップを表現していたりする。

彼らは、すっぴんが美しくても《ブサイク》であっても、どっちも同じくらいおもしろくて楽しくてかわいいこと、って感じの価値観を持っている。自分の世代にはなかった価値観にビックリしながらも引き込まれていった。

特に衝撃を受け、私を実践に導いた動画がある。『ウチら3姉妹』というチャンネルの「とうあ」さんが1人でメイクをする様子を見せる「【毎日メイク第2弾】オカマがブスからましなぶすへ」という動画がすごすぎてビックリした。

男子っぽい感じの子が、自分でメイクをして、みるみるうちに今どきのTHE令和の女の子の顔になる。

「そのまんま丸出しの顔からメイクしていって別人になる様子を見せる」動画を、本人が配信しているという、昭和生まれ小室ファミリー育ちの私が過ごした青春時代には絶対に絶対に見られない光景。

それ自体には慣れたつもりだったが、ここまで「今風の女の子」と真逆のジャンルっぽく見える人のメイク動画を見たことがなかったので、心底驚いた。メイクってこういうことなんだというのを、ガツーーーンと教えられた感じだった。

あまりにも驚きすぎて「私もやってみたい!」と思い、また最初から再生して、この動画で紹介されたメイク道具一式をAmazonで注文していた。