なおみさんを囲む、環さんとマックスさん夫妻(写真提供:環さん)

そういうわけで、いまの私はフロリダで夫と2人暮らし。マックスは、娘たちがアマチュアのころから国内外の試合にコーチとして同行し、その成長を見守ってきました。それだけ絆が強いはずなのに、2人が相次いで独立しても、意外なほどあっさりしていた(笑)。

寂しくて、私が毎日「なんで、なんで」と言いながら泣いていると、「泣いてたってしょうがない。子どもがずっと自分の思い通りの人生を進んでくれると思っているのか」と言って、ちっとも取り合わない。

そのうえ「今後の自分の人生は、ハイチの子どもたちに捧げる」などと言う始末。彼にとって、それが人生を有効に使っている、ということらしいです。

マックスは日本に住んでいたころから、恵まれない人を支えるボランティア活動に熱心でした。家族が明日のごはんを買うお金にも苦労しているのに、北海道の両親が「せめて孫の食べる物は」と送ってくれた新巻鮭を、炊き出しのおにぎりにして大阪のホームレスの人たちに配ってしまったことは、私、一生忘れないと思う。(笑)

こういう話をすると、みんなマックスを聖人のように褒めるんです。でもね、その鮭を焼いて、ほぐして、おにぎり200個握ったのは、ボランティアグループの女の子たちと私なんだから。(笑)