家族の存在が原動力になっている

―――テレビ番組で奥さんが井浦さんについて「あの人は、やさしさのかたまりです」とコメントするほど、家庭的な部分も知られている井浦さん。家族愛が主軸になっているという本作に出演したことで、自身も父として、作品を通じて改めて家族について考えたこともあるという。―――

子どもの命が奪われてしまったら、自分はどう受け止めるのだろうとか、自分はどうなってしまうのだろうとか、いろいろなことを考えさせられました。なんかこう、家族をギュッと抱きしめたいような気持になったりして。

僕は家族を持って随分と変わったと思います。以前は誰に対しても「言わなくてもわかるでしょ」って感じだったんです。当然、誤解されたり、なにも伝わっていなかったりして落胆するわけで、そうした失敗を繰り返す中で少しずつ自己改善していき、今は自分の気持ちはきちんと言葉にして伝えるようになりました。

「家族なんだから察してくれよと」いうのは自分勝手な発想だと子どもたちにも伝えています。だから我が家では、いいことも、悪いことも伝えあっていると思うのですが、それでも自分以外の人のことを100パーセント理解することなんかできませんよね。自分が子供の立場だったらどうかな? という想像力も必要、忍耐も必要。お互い様だとはいえ、なかなかに大変で、思わず感情的になることもあります。でもそこは家族だから。僕にとって家族がいるという安心感は絶大。家族の存在が原動力になっているのを感じます。

僕が辿った「言わなくてもわかるでしょ」から「言わなくちゃ伝わらない」へと移り変わった心の経緯が、川澄という無骨の男の変化と重なるんです。家族のありがたさが膨らんでいき、次第に心がほころんでいく感じが…。その辺りに共感してくださる方が多いような気もするのですが、どうなんでしょう? いずれにしても、ドラマを観てくださった方が、難度の高い謎解きを楽しみながら、家族の大切さを再確認し、見終えたあとに家族をギュッと抱きしめたくなるような気持ちになっていただけたら嬉しいです。

僕にとって家族がいるという安心感は絶大。このドラマで家族の大切さを再確認し、家族をギュッと抱きしめたくなるような気持ちになっていただけたら嬉しいと語る井浦さん(撮影:本社・奥西義和)

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