もうひとつ、食生活も変えました。50代になって体形の変化や体力の衰えが気になり始め、素直な体にしておかなければと食の指導を受けたんです。具体的には、旬のものや体質に合った食材を取り入れています。大好きな小麦を消化しにくい体質だとわかったので、品種や食べ方を変えたりも。すると不調がみるみる改善され、心に余裕が生まれ、素直な自分でいられるようになったのです。
驚いたのは、自分の弱みや欠点を口にするなんて恥ずかしくて絶対にできなかった私が、人前でもワンワン泣けるようになったこと(笑)。以前は何か思い悩んでも我慢していたのに、「ちょっと聞いてよ」と友人に弱音を吐けるようになり、いまは精神的にすごくラクです。自分は繊細な人間だと思って生きてきましたが、無駄な繊細さだったのかもしれません。(笑)
自分のためだけに小説を書いたり、華道を習って生き方を学んだり。この数年で、仕事以外の趣味を持つ大切さを実感しました。そういう時間があるからこそ、心のバランスが保てるんですね。いまは仕事もプライベートも、自然体かつマイペースに楽しめています。
役者の仕事は依頼があって初めて成立するもので、自分の意思で選べるわけではありません。一方、趣味は自分のタイミングでいつでもスタートできる。それも自分のなかでは心の支えになっているかもしれません。
この心穏やかな日々がずっと続けばいいなと思っていますが、この先どんなふうに年を重ねたいか、ということまでは考えていなくて――。日本人女性の平均寿命は87歳ですよね。私、そんな先まで生きるのかなって(笑)。それに、私にとってこの5年さえ大きなひと山なので、あまり遠い未来のことまで考えられないんです。
もちろん小説はずっと書いていきたいし、女優の仕事もできるだけ長く続けたい。年をとれば若さや体力は失われていきますが、きっと大切なのは年齢ではなくて、何かに興味を持っていられるか。それは、ここ数年の自分自身を振り返ってみてもわかります。つまずいて何かを失っても、得るものが必ずある。自信を持って、目の前の一日一日を大切に過ごしたいです。