クヨクヨするか笑って過ごすか
体調も徐々に回復し、1ヵ月ほど経過したある日、再度激痛が襲ってきた。手術前と同じ腹痛だ。かかりつけのクリニックに駆け込むと、医師曰く「手術後の癒着かも」。とりあえず痛み止めの点滴で様子を見ることになった。帰宅しても痛みはおさまらず、タクシーで手術した病院へ向かう。
今度は胆管に石が詰まっていたことが判明。石はすでに胆管の外に排出されていたのだが、血液やほかの臓器に影響を与えていたので、治療のため入院することになった。
追い打ちをかけるように、長男の嫁が出産予定日よりも3週間早く入院したとの一報が。こんな大変なときに私は何も力になれない。予定日が早まったのは、もしかして私が心配をかけたから?罪悪感に苛まれて、病室を出たり入ったり、談話室で携帯をじっと眺めたりと落ち着かない。
そんなとき、入院中だと思われる人から、「何か心配なの?」と声をかけられた。事情を話すと、「あなたが早く元気になることが一番。出産は専門家にまかせましょう」と。少し気持ちが楽になった。
その日の午後3時過ぎ、長男から孫誕生の報告が届く。嬉し涙が流れ、病気もどこかへ行ってしまったかのよう。孫の顔が見たい一心で、回復が早まったのかもしれない。5日目には退院し、孫に会いにいった。よく「孫は子どもよりも可愛い」と言うけれど、本当に可愛い。この子の成長を見るために、病気になんか負けられないとむくむくと意欲が湧いてきた。
それから2年。なんとか健康を保っている。ただ、体が下り坂に入っていることは間違いない事実。いつ何時まさかの事態にぶつかるかわからない。そのときのことを心配して、クヨクヨするか、笑って過ごすのか。
私は腹痛の恐怖や病気の不安にとらわれたときは、孫の成長や趣味など楽しいことを考えて、負の感情を打ち消している。笑顔で過ごせば、周りの人にも喜んでもらえるし、「笑う門には福来たる」で病気も逃げ出してくれるのでは、と思っているから。