異変に気づいたのは、2004年の6月。『プライド』という作品を連載しているときでした。もともと仕事場の壁に貼ってあった視力検査表を眺めながら、手のひらで左右の目を交互に隠してチェックしてみると、右目のほうが左目より暗く見える。「左右の明るさが違うなあ」と言ったら、アシスタントから「すぐ眼科に行ってください!」と言われたんです。
眼科では、進行した緑内障と診断されました。緑内障は眼圧が上がることで視神経に障害が起き、徐々に視野が欠けていく病気です。私の場合、両眼の視野が内側から欠けてきていたのに、左右の目が互いにカバーし合っていて気づけなかったようでした。見づらいのは老眼のせいだと思っていたのですが、そうではなかったのですね。
医師が「手術が必要だからどうするか考えてください」と言ったので、「じゃあ、します。今日できるのなら今日で」と答えたら、すごくびっくりされました。初診のその日に手術をしました。
目の中にたまった房水(眼球内を一定の圧力で循環している透明な液体)の排水を促して眼圧を下げるため、眼球にレーザーで孔を開けて排水路を作る手術を受けました。点眼麻酔をして、手術は5分ほどで終了。痛みもなかったです。
その後も目薬での治療を続け、眼圧も安定していたのですが、08年に再び上昇。その年の10月に右目、11月に左目の手術を受けました。目薬はいまもさしていて、房水を流すパイプを入れるために、先日通算5度目となる手術を受けたところです。
私にアドバイスしてくれていた姉の緑内障はというと、最近になって初めて手術をしたものの、視野欠損はナシ。長年、目薬をさし続けていたおかげですね。緑内障により欠損した視野は戻すことはできませんが、治療で進行を遅らせることは可能とのこと。
眼圧が正常でも発症するケースがあるそうなので、症状がない人も年に一度は検査を受けることをおすすめします。私も最初から治療をしていればと反省しましたが、あとの祭り……。せめて私の経験をお話しすることで、どなたかの参考になるといいなと思います。