腹をくくってレストランの中に

ある日、友人と昼食の約束をした。10年ぶりに会う友人と、忙しい合間をぬってあるレストランで待ち合わせることになった。私は先に到着したが、ひとりで入るのが嫌だったので、友人が来るまで店の周辺で時間をつぶすことにした。するとそこに友人から電話が入った。

「10分くらい遅れそうなんだ。先に店に入っていてくれ」

私は思わず声を張り上げた。

「嫌だよ! ひとりでなんて入りたくない。10分くらいなら外で待つから」

電話を切って10分後、再び友人から電話がかかってきた。

「本当に申し訳ないが、先に入って注文しておいてくれないか。俺は豚のコチュジャン炒めを頼んでほしい。おわびに俺がおごるよ」

友人は急な仕事で遅れるから、先に注文しておいてくれと言ってきた。

嫌でたまらなかったが、しかたがない。私は腹をくくってレストランの中に入った。客たちが「あの人、ひとりで来たよ」とささやいているような気がした。

私は周囲を見ずに、店員に通された席に着いて友人に頼まれた料理を頼んだ。

結局、友人は約束の時間より30分遅れてやって来た。すぐに料理が運ばれてきて、私たちはさっさと食事をすませ、次に会う約束をして別れた。店の中で友人を待った20分の間、背中には嫌な汗が流れ、ほかの客たちから白い目で見られているようで気が気ではなかった。