(写真提供:Photo AC)
筋肉の硬直による凝りは、体のあちこちが疲れる、重だるい、動かしにくいなどの不調を引き起こします。1日1回伸ばしてほぐすだけで、体はぐっと楽になるはずです。ストレッチ専門店「ストレチックス」で店舗トレーナーへの技術・知識研修を担当する渡辺久進さんに効果的な「ゆるストレッチ」をうかがいました(構成◎浦上泰栄 撮影◎藤澤靖子)

筋肉は閉経を境に衰える

「腰が痛い」「目が疲れる」「体が動かしにくい」――。私がトレーナーを務めるストレッチ専門店には、このような悩みを抱える60代以降の女性が大勢いらっしゃいます。

原因のひとつに、閉経を境に筋肉が急速に衰えてしまうことが挙げられるでしょう。筋肉の柔軟性が低下すると、骨格をうまく支えられなくなるほか、関節の動きを妨げて可動域を狭めてしまいます。

加えて、人にはそれぞれ体の動かし方にクセがあるもの。食事をする時に片側の歯だけで噛む、気づくと足を組んでいる、長時間スマホを見ているなど、同じ姿勢や動作を続けると、衰えている筋肉をますます緊張状態に追い込み、痛い、疲れる、動かしにくいといった症状を引き起こします。

こうした不調を放置すると、姿勢の歪みや凝りが慢性化し、新たに動かしにくい部分が生まれて悪循環に陥ることに。また、血管が圧迫され血液の循環も悪くなるため、疲労物質や老廃物が溜まってしまう原因にもなるので注意が必要です。

縮んで硬くなった筋肉は、元に戻る機能が低下してしまいます。だからこそ、「長時間同じ姿勢でいたな」と気づいた時は、ストレッチをして意識的に伸ばし、筋肉を緩めるようにしてほしいのです。

ストレッチを続けて筋肉を正しく伸ばすと、血行不良が改善され、凝りや痛みがやわらぎます。また、筋肉の可動域が広がって、関節の動きもよくなり、日常生活の動作がスムーズに。骨格を支える筋肉の硬さや長さが適切になるため、正しい姿勢を取り戻すこともできるのです。

次のページから、どの年齢の方でも無理なくできる、目やあごの疲労、姿勢の歪みの改善に役立つ「ゆるストレッチ」を紹介します。できれば1日1回、難しい場合は1日おきに行いましょう。ただし、無理は禁物。筋肉が伸びて、心地よさを感じるくらいを目安に取り組んでみてください。