「賢い」北条氏は、将軍への道を歩まなかった

これに対して、北条氏はどんなに実力を蓄積したとしても、Bグループなんですね。

だからこの家の人が「将軍になるぞ」、すなわち「御家人の主人になるぞ」と宣言したら、関東の武士たちは従うでしょうが、「なんだ、あいつのとこは元々オレたちと同レベルじゃないか。なんでご主人様、と頭をさげなければならんのだ」と腹の中でブツブツ言うに違いない。

それが予測できたので、「賢い」北条氏は将軍への道を歩まなかったのでしょう。位階も恣四位どまり。一流貴族を意味する三位以上には昇ろうとしなかった。

その結果、例えば公卿で歴史家の北畠親房のようなうるさ型からも「北条の者どもは、よく弁えておる。けっして分不相応な出世を望んでおらん」とお褒めの言葉を戴いています(『神皇正統記』)。