介護型ケアハウスという選択肢も
では、どうしたらいいかというと、私がおすすめするのは「介護型ケアハウス」です。これは各都道府県にあって、60歳以上の方が要介護1から入所できる高齢者施設。ただし数が少ないうえ広告も出ていないので、地元の地域包括支援センターなどに相談しながら自力で情報を集める必要があります。
東京で介護付有料老人ホームに入ろうとすると、月25万円程度はかかりますが、介護型ケアハウスなら10万円台で入れるところもあります。入居一時金も数十万円程度なので、支払いはさほど高額にはならないはず。部屋は広くはないものの、個室でプライバシーも保てる。要介護1から5まで対応可能です。
ちなみに、損保ジャパン日本興亜による最新の調査では、介護費用総額の平均は787万円、月額平均は12万7000円。介護期間の平均は約3年7ヵ月でした。
金銭面で気をつけてほしいのは、軽い気持ちで子どもが負担してしまうこと。最初の「ちょっと」が「ずっと」になってしまうため、それだけは避けてください。親亡き後、自分の老後が立ちゆかなくなってしまう方をたくさん見てきているからです。
介護は親のお金で賄うのが基本。よく「親のお金だけで施設に入れるのは無理です」という人もいますが、それは調べ方が足りないのかもしれません。「親の年金や貯金で賄える範囲で、介護保険もすべて使う」と決めて足を使って探せば、見つけられる可能性はあるからです。
その際に大切なのは、親の家の周辺にこだわらないこと。地方に行けば、介護付有料老人ホームでも月11万~13万円程度で優良な施設が見つかることもあります。遠方だと頻繁に会えないというデメリットはありますが、介護においては面会の便より月々赤字を出さないことを重視すべきです。
介護は情報戦。積極的に情報収集し、これぞと思う施設を見つけたら実際に訪ねて見学する。まずはそこから始めましょう。