そんな経験を経て、11月に全国を回った秋のライブツアー。自分自身の一番大きな変化を感じたのは、さだまさしさんの「いのちの理由」という曲をステージで歌っていた時です。春のファーストコンサートでも歌った曲で、「私が生まれてきた訳は」から始まる歌詞が素敵だなと思って選びました。

その歌唱中に、半年前とはまったく違う気持ちで、歌に向き合っていることに気づいたのです。前向きに一歩踏み出した退団後の芸能活動でしたが、どこか怖さもあったし、過去の記憶に縛られて、「きちんとしなければいけない」という足かせがあったのでしょう。

それが秋のライブでは消えてなくなっていて。私はまだまだ変われるんだ、と思えたのが大きな収穫でした。

宝塚時代は休日も身体のメンテナンスでスケジュールが埋まっていたのですが、今は「天気がいいからカフェに行こうかな」とか、予定を決めずにフラッと出かけられる。そういうさりげない日常に喜びを感じています。時間を贅沢に使っているような気がして。すごく活力になっていますね。この前も急に思い立って、箱根の美術館まで車を走らせたんですよ。（笑）

これからは、もっと自由に、もっと私らしく。今回の『マヌエラ』でもありのままの自分で、共演の皆さんの胸をお借りして、一緒にいい作品を作っていけたら……。今後もいただいたお仕事に懸命に取り組む姿勢は変わらず、誠実に進んでいければいいなと思っています。

珠城りょうさん主演舞台

『マヌエラ』（公式サイト）

東京：2023年1月15日(日) ～ 2023年1月23日(月)／東京建物 Brillia HALL（豊島区立芸術文化劇場）
大阪：2023年1月28日(土)・29日(日)／森ノ宮ピロティホール
福岡：2023年1月31日(火) ／北九州芸術劇場 大ホール