「今はどの現場でも〈初めて〉の挑戦。新しい環境が、ひとりの俳優として『表現することが楽しい』という気持ちにさせてくれています」(撮影:初沢亜利)
入団9年目という早さで宝塚歌劇団の月組トップスターとなり、〈芝居の月組〉を牽引した珠城りょうさん。2021年夏の退団後は、ドラマや映画出演など活躍の場を広げている。退団後初の主演となる舞台を前に、現在の心境を明かす。
(撮影=初沢亜利 構成=藤野さくら)

表現することが楽しくて

宝塚歌劇団を退団して、約1年4ヵ月。ありがたいことに、舞台はもちろんドラマや映画、ライブなど、予想以上にいろいろなお仕事をやらせていただいています。

一つひとつに真摯に挑んでいくなかで感じているのは、自分自身の変化です。宝塚時代は組をまとめるトップスターとして、すべてをしっかりやらなければと考えていたのですが、今はどの現場でも〈初めて〉の挑戦。新しい環境が、ひとりの俳優として「表現することが楽しい」という気持ちにさせてくれています。

そのような心境の変化があったところへ、いよいよ退団後初の主演舞台、PARCO PRODUCE 2023『マヌエラ』のお稽古が始まります。

『マヌエラ』は、第二次世界大戦直前の上海・フランス租界で、「上海の薔薇」と呼ばれた実在の日本人ダンサーの愛と半生を描いた物語。私が演じるマヌエラ、本名・永末妙子さんは松竹歌劇団(SKD)出身。お芝居だけでなくダンスシーンを盛り込んだ舞台なので楽しみです。

もうひとつ、私が勝手に思っているマヌエラさんとの共通点は、性格です。資料を読むと、彼女は信念をもって行動する強さがあるのですが、ある意味正直すぎるし、人間くさい。不器用な生き方しかできない人のようにも感じて。

私も「これは間違っているんじゃないか」と思ったら流すことはできない。自分の心に嘘がつけないところがあります。なので、その部分は共感しながら役作りができるかもしれませんね。