消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
キツネによる温泉発見の由来や伝説
歴史ある温泉の多くには、開湯にまつわる発見伝説が存在する。温泉を見付けたのは鳥獣や高僧、武将、日本神話の神など多種多様で、中には複数のエピソードを持つ温泉も。
真偽のほどはさておき、日本各地に残る鳥獣による温泉発見の由来や伝説を紹介しよう。
●嶽(だけ)温泉(青森県弘前市常盤野)
延宝2年(1674)、百沢村の杣夫(そまふ)(きこり)野呂長五郎が岩木山のシトギの森に薪(たきぎ)切りに行き、昼飯の包みを切株に置いて仕事をしていたところ、1匹のキツネが飯包みをくわえて逃げていくのに気付いた。
それを追いかけ、ようやく追いつきそうになった時、キツネは包みを雪穴に落として逃げ去った。長五郎が雪穴に降りてみると、そこだけ雪がなく、湯気が立ち上って温泉が湧いていた。
長五郎はその場に笹小屋を造り、誰でも入浴できるようにしたのが始まりとされる。