人生を楽しまなくてはもったいない

この体験は極めて稀有なことと思われたので、小説に書いてみたいと先生に伝えると、「高齢者が孤独で寂しい時代だから、老人たちが希望を持てるようなものが描けるなら書いてみるといいよ」と言ってくれました。

でも途中まで書いたところで読んでもらったら、黙り込んでしまって。彼を苦しませることになるならもうやめようと思っている時に、「書かなくなったら松井久子ではありません」と背中を押してくれたのも先生です。

それが今回出版された『最後のひと』。小説は小説。どこまでが真実かはご想像にお任せします。

この小説を通して、恋愛に限らず、心輝かせて今を生きることの大切さについて多くの方に考えていただきたいと思いました。人はみな多面体。社会通念にとらわれず、自分の可能性を見つめ、より幅広く、より深く人生を楽しまなくてはもったいない。

せっかく人生100年時代を迎えたのですから、どう生きることが幸せなのかと考え、素直な心で自由に生きてみませんか? そう私は広く呼びかけたいのです。


松井久子さんが綴る大人の恋愛小説

>>最新刊<<最後のひと
75歳になって、86歳の人を好きになって何が悪いの?ベストセラー『疼くひと』のその先を描く希望の物語
疼くひと
70歳。女のままでいたい。たとえどんなに孤独でも――。今を生きる成熟世代から熱い共感を集めた話題作

ともに定価1760円(税込)・中央公論新社刊