「誰かが計算してみたら、僕の仕事を一つずつ分けて考えてみると800年分くらいの人生を生きてる、って(笑)。そうかもしれない。」(撮影:岡本隆史)
2023年3月3日の『ふたりのビックショー』にミッキー・カーチスさんが宇崎竜童さんと登場。「俺たちのロックンロール」「恋の片道切符」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」などを熱唱します。それに合わせ、これまでの人生の3つの転機について語った『婦人公論』2022年12月号の記事を再配信します。

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演劇の世界で時代を切り拓き、第一線を走り続けるスターたち。その人生に訪れた「3つの転機」とは――。半世紀にわたり彼らの仕事を見つめ、綴ってきた、エッセイストの関容子が訊く。第11回は歌手で俳優のミッキー・カーチスさん。大学の軽音楽バンドに誘われたことから、ロカビリー歌手としての道が開けたと語るミッキーさん。その後もレーサー、音楽プロデューサーなど多方面で活躍してきたミッキーさんは、流れるままに、適当に生きてきたと話します――。(撮影:岡本隆史)

流れるままに、適当に

ミッキーさんにはいくつ、その顔があるのだろうか。まずは華やかなロカビリアンとしての顔、続いて芸域の広い俳優としての顔、そしてレーサー、華道家、ハーモニカ奏者、音楽プロデューサー、なんと落語家、それでも足りず今度は画家として代官山の画廊で個展を開いた。

しかもそのどれもが本物の域に達しているのがすごい。

――誰かが計算してみたら、僕の仕事を一つずつ分けて考えてみると800年分くらいの人生を生きてる、って(笑)。そうかもしれない。でも俺、若いときから流れるままに、適当に生きてますから。

近ごろの若い者が女にふられて悩んでると、「すぐ次へ行けばいい」って言ってやる。子供が学校でいじめられて自殺だなんて、絶対ダメでしょ。転校すればすむことだしさ。俺もさんざんいじめられたよ、「合いの子」だって言われて。今、ハーフなんて言うけど、俺半分じゃねえよ、って怒る。