2005年に上演されたミュージカル『テニスの王子様』で跡部景吾を演じた加藤さん。ファンが多い作品だけにプレッシャーも大きかったという

「跡部様」ビジュアル公開で事務所ホームページがダウン

もう一つの出会いは、2005年に上演されたミュージカル『テニスの王子様』です。この作品で氷帝(ひょうてい)学園の跡部景吾(あとべけいご)を演じたことが、大きな転機になりました。

当時は毎年のように戦隊もののオーディションを受けていたのですが、いつも最終で落ちていたんですよね。そんな時に仲のいい相葉裕樹くん(当時は「相葉弘樹」表記)がミュージカル「テニスの王子様」に出演することになり、観劇に行きました。もともと原作漫画の大ファンで、その後の作品が「氷帝戦」ということもあり受けてみたいなと。氷帝は僕が一番好きな学校で、跡部は一番好きなキャラクターでしたから。

オーディションに合格し、跡部に扮したビジュアルが『週刊少年ジャンプ』で初公開された際には、アクセスが集中して事務所のホームページがダウンしてしまい、スタッフが驚いていたのを覚えています。ファンが多い作品だけにプレッシャーも大きかったのですが、「出演者の中で、俺が一番テニス(の王子様)のことを知っている! 俺が一番テニスが好きだ!」という思いで、当時は全力で臨みました。

2006年に歌手としてデビューアルバムを発売し、2010年にはアニメ『家庭教師ヒットマンREBORN!』オープニング曲と桔梗役で声優に初挑戦。こちらも原作漫画を読んでいた大好きな作品だったので、決まった時はものすごく嬉しかったです。声優の仕事は思っていた以上に大変で、声優界の大先輩であり、同作のオフレコ演出担当だった三ツ矢雄二さんにレッスンしていただきなんとかやり遂げることができましたが、本当に緊張しました。

芝居、特に舞台は全身で感情を表現できますが、声優の場合は声だけ。どのくらいのテンションで絵に合わせればいいのかもわからないし、自然な演技を目指してナチュラルに喋ると、感情が伴わないキャラクターになってしまいます。かといって、わざとオーバーにすると、今度は作られたお芝居になってしまう。最近になってようやく声の仕事を楽しめるようになってきましたが、難しいことに変わりはありません。引き続き鍛錬しなくてはと思っています。