舞台『BACKBEAT』で、再びジョン・レノンを演じます

今年4月、バンド創成期のビートルズを描いた舞台『BACKBEAT』に4年ぶりに出演します。1994年に映画が公開されたこの作品は、1960年のイギリス・リヴァプールを舞台に、無名時代の彼らの日々を綴った熱い青春物語。僕は2019年に初めて日本で上演されたときと同じく、若き日のジョン・レノンを演じます。

「今回の上演で、再びジョンを演じられること、そして何より同じバンドメンバーで舞台に立てることが本当に嬉しい」

ビートルズと言えば誰もがジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人を思い浮かべると思います。でもメジャーデビュー前の彼らは、絵の才能があるスチュアート・サトクリフ、スチュアートの親友ジョン・レノン、そしてジョージ、ポール、ピート・ベストの5人で活動していました。舞台では僕らの外見も革ジャンにリーゼントで当時の彼らを表現しており、すごく新鮮に感じていただけるんじゃないかなと思います。

今回の上演で、再びジョンを演じられること、そして何より同じバンドメンバーで舞台に立てることが本当に嬉しいです。初演時にかなりの手ごたえを感じていましたし、メンバーも同年代で仲が良く、口々に「またやりたいね!」と言っていた作品だったので。皆で再演決定を喜び合いました。

初演の舞台に立つ前に、イギリスでリヴァプールをはじめとしたビートルズゆかりの地を訪ねたのもいい思い出です。彼らが住んでいたアパートや通っていた学校を巡り、21歳で世を去ったスチュアートのお墓参りをして。ビートルズがあふれている街で地元ならではの空気を感じながら、有意義な時間を過ごしました。

ジョンを演じてみて思ったのは、すごく寂しい人だったんじゃないかということ。もちろんビートルズとして活動を楽しんではいたでしょうが、どこかにぬぐえない空虚感があって、最後まで心の片隅のピースが埋まらなかった人という印象を持ちました。その空虚さを埋める役割をしていたのが音楽であり、彼の表現だった気がするのです。生きていたらそれを追い求めて偉大なことを成し遂げていたと思うので、早世が残念でなりません。

初演から4年たった今、正直、再びジョン・レノンの歌声を出せるのかなという不安もあります。でも、このメンバーでバンドができるのもこれが最後だと思うので、持てる力を全部出し切って挑むつもりです。