親からの独立、離婚、配偶者との死別など…長い人生、いつかは一人になることを考えて不安に思う人も多いのではないでしょうか。「人間は誰も中年、老年、それぞれの年代において一人になる可能性がある。それに備えることは実に重大な任務だ。」と話すのは、作家、曽野綾子さん。夫、三浦朱門さんが亡くなってからはじまった一人暮らし。自分の時間を楽しむコツとして曽野さんは「苦手な人とは距離を置く」と言いますが――。
苦手な人とは距離を置く
困ったことに、と言ってしまうのは軽薄なのだが、人間関係ほど恐ろしく、同時に魅力的なものはない。どちらがほんとうなのか、と聞かれると、私は返事に困る。
世間には人間嫌いと自らも自分を位置づける人がいて、その程度はさまざまだ。
何となく、人との関係がいつもぎこちないという程度で一生済んでいく人もいるし、徹底して部屋の中や森の奥に引っ込んで、外との関係を極端に避ける人もいる。
純粋に好みの問題だけで言えば、私は後者に傾く性向がなくはない。