小山さん88歳の誕生日を祝って、孫が描いてくれたイラスト

2年前、うつ病になって家に引きこもっていた頃は、もう二度と人前に出られないと思いました。でも今こうしてお仕事ができるようになり、仕事は生きがいだと改めて感じますね。

明日は音楽家の友人と朗読の収録をします。ほかにも吉川さんとトークショーをしたり、旧知のアナウンサーにラジオ番組へ呼ばれたり。こうしたお仕事も、これまで培ってきたご縁のおかげで繋がっているのです。

今年は大島が亡くなって、ちょうど10年。振り返れば、96年に大島が脳出血で倒れて、介護していた私は最初のうつ病を発症。大島が映画『御法度』の製作発表をした直後で、彼の容体に加え、映画が撮れなければ製作費の借金だけが残ってしまうという心配もあって。うつの完治まで4年かかりました。

右半身に麻痺が残った大島が執念で映画を撮り終えて、カンヌ国際映画祭に出席するため私もフランスに同行、そのとき薬を飲むのをやめたのを覚えています。

17年間、夫の介護をしましたけれど、十分お返ししてもらっていると思うのです。今年は大島の代表作『戦場のメリークリスマス』が全国でリバイバル上映されて、40年前の映画なのに改めてすごい、と思いました。若い世代のみなさんからも感動の言葉を頂戴したり。多くのものを贈られています。

この1月に88歳、米寿になりました。誕生日は、まずホテルでのトークショーのお仕事。そして夜には、地元の中華料理店で息子夫婦、孫5人、ひ孫1人、家族全員にお祝いをしてもらって格別にうれしい日でした。

お金を使うときは最小限をモットーにしている私ですが、幸せや喜びを感じるときは遠慮せず、最大限に受けとめているのです。