19世紀に山採りされ、祖父が育てていたという真柏。下のほうの白い部分は、木質部分が剥がれて白骨化したもので「シャリ」と呼ばれ、真柏の特徴でもある

 

毎日細かく観察して、それぞれの個性を見逃さないようにし、「ここを伸ばしてやろう」「こう育ってもらいたい」と、成長に手を貸してやる。盆栽の手入れは子育てに似ているから、本来、女性に向いていると言う。

だが盆栽の世界は男社会。重労働だからか、男性が圧倒的に多く、女性が活躍するのは簡単ではない。

「お客様も男性が多いし、高額なものは、やっぱり名人然とした男性から買いたくなるんじゃない? でも私の場合、女だからと白い目で見られることなく、むしろ皆さんに助けられてきたから、ここまで続けられました」

 

鉢ごと水につけて、水やりをしているところ。鉢底から棕櫚(しゅろ)縄を出し、水が抜けやすいよう工夫しているので、鉢内が水分過多になることはない