人生100年時代を迎えた今日、一人暮らしの高齢者が増加しています。「ずっとひとりで寂しい、老いていくことが辛い」「これからのお金、健康の不安がなくならない」などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。「実は老後のシングルライフには夢があふれている」と語るのは、精神科医の保坂隆さん。その保坂先生「単純計算では、もう一回、生き直すくらいの時間が残されている」と言いますが――。
目標や夢を見つけるのは意外と難しい
今が、ひとり暮らしを始めて1週間ほど経った頃だとしましょう。
一日に流れる時間の感覚が少しだけわかってきたかもしれません。
もちろん現役時代のような忙(せわ)しなさはないし、家族がいた頃のなんとなく追われるような気分もない……。
とにかく時間がゆっくり流れていくことが実感できるでしょう。
実際、もてあますほどの時間があるのです。
もちろん、「ひとり暮らしになったらこれをやりたい」ということがはっきりしているのなら、さっそくトライしてみるといいでしょう。
しかし、ひとり暮らしを始めた人がみな、やりたいことを温めてきたわけではないでしょう。
とりたててやりたいことが見つからないケースだって少なからずあるはずです。
そのケースのほうが多いかもしれません。
なにしろ、仕事のこと、家のこと、子供のことなどに忙殺されてきたのです。
それ以外の目標や夢を見つけるのは意外と難しいものです。