作詞家、コラムニストとして活躍しながら、ラジオパーソナリティーとしてレギュラー番組も持つジェーン・スーさん。番組などで人生相談を受けているうち、自分の能力を信じられない女性が多いと感じたといいます。そんな女性たちに、身近にも、自らの力で自分の居場所を作った女性たちがいることを知ってほしいと始めた、成功者たちへのインタビュー。美容家、料理家、漫画家など、成功を掴むまでの道のりに通底していたものは――(構成:上田恵子)

歯がゆく感じることの多い10年間

コラムニストとして初の著書を上梓してからちょうど10年。この間、ラジオのパーソナリティーとして冠番組を持ったり、イベントで読者やリスナーを前にしてお話ししたりと、予想だにしない出来事ばかり起こりました。

世の中を見渡せば、経済の低迷が続き、コロナ禍による打撃もあり、歯がゆく感じることの多い10年間でした。ただ、個人的には、年齢を重ねたことでだいぶ生きやすくなった気がします。

家族は父親しかいないので、「誰々のためにうまくやらないと」ということもなく、結婚や出産へのプレッシャーからも解放されました。世の中の機嫌を取らなくても良くなってきた、という感じです。

とはいえ、同世代の女性たちが同様かといえば、決してそうではない。会社勤めの人は同僚や上司、部下との関係に気を遣うでしょうし、義理の家族やママ友とそりが合わないなんてこともあるでしょう。また、世代にかかわらず、人生に不安を抱いている人が多いように感じます。

私は、ラジオ番組などで人生相談を受ける機会が多いのですが、「あなたの経験を生かしてみたら?」とアドバイスをしても、「いいえ、私なんかダメです」と否定的な受け止め方をする方が多い。決して才能がないわけではないのに、自分の能力を信じられないんですね。