作家・五木寛之さん(『新・地図のない旅Ⅰ』帯より)
人生100年時代と言われ、人が経験したことのない未来が待つ世界になりました。先が見えない世の中で、90歳を迎えた作家・五木寛之さんが綴るエッセイからは、日常を新しい角度から見るヒントが見つかるかもしれません。昔から養生を趣味としてきた五木さんが、夜寝る前にしていることとは――。

養生は遊び

趣味は養生、と昔から言ったり、書いたりしてきた。

健康法では趣味にならない。趣味というのは面白いからやるものだ。道楽、といってもいいだろう。役に立とうが立つまいが、それが楽しいからやるのである。

養生は私の遊びの1つである。若い頃は競馬に凝ったり、麻雀に熱中したりした。いまは遊びといえば、せいぜい養生といったところだ。

遊びであるから苦しいことや無理なことはしない。

先日、ある人から「毎日、足の指を1本ずつ揉むと健康にいいんだよ」と教えられた。