松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第27回で、家康は京の本能寺で信長(岡田准一さん)を討つ計画を家臣たちに明かす。家臣たちの意見は割れるが、家康の決断を信じようと諭す忠次(大森南朋さん)。やがて家康たちは信長に招かれ、安土城へ乗り込み――といった話が展開しました。
一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第45回は「フィクション」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!
史実は書きかえられないものである
前話の『どうする家康』では、妻と子を失った家康が復讐を遂げるべく、本能寺周辺へ忍者をしのばせ、信長を襲う準備を進めている様子が描かれました。
「本能寺の変」そのものは次話になるので、具体的な内容はまだわかりませんが、すでに歴史事実と距離が生まれた演出に対し、ネット上ではまさに賛否両論が飛び交っているようです。
そもそもですが、「歴史事実」というのは、どういうふうに事実だと証明されるのか?
その過程では、残っている歴史資料がカギとなります。
多くの古記録(日記)や古文書、歴史書の類いが、明智光秀が京都の本能寺に織田信長を襲い、討ち取った。そういうふうに主張している。
となると、古記録や古文書を否定できない限り、史実は書きかえられることがないのです。