本気で愛されていた
はたして、彼が「いい?」と言って、由紀さんの布団のなかに入ってきた。
「痛かった……だけでしたね。痛いってだけで、記憶がボーンと飛んじゃって、それ以外のことはよく覚えてないんですけど、彼のために我慢をしました。彼は『ほんとに処女だったんだ』ってびっくりしながらも、『ありがとう』って喜んで、涙を流しながら私を抱きしめてくれました」
「そこに至るまで長すぎたのかなぁと思ったこともありましたが、自分で決めていたことなので、もっと早くやっておけばよかったと思うことはありませんでした」
なんていい彼なのだろう。由紀さんは本気で愛されていたのだ。
ついに交わった二人だが、その幸せは長く続かず…。<続きはこちら>家田荘子 35歳まで肉体関係を持たないと決めた「大人処女」を待っていた衝撃の結末。ただ結末が見えていたとしても「するのは無理」と揺らがず
※本稿は、『大人処女ーー彼女たちの選択には理由がある』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
『大人処女ーー彼女たちの選択には理由がある』(著:家田荘子/祥伝社新書)
30歳を過ぎて性経験がない女性、大人処女。彼女たちは、なぜそれを選択したのか。著者は、梓さんを含む9人に寄り添うように取材、すこしずつ聞き出していく。そこには、9者9様のドラマがあった。さまざまな価値観と生き方を伝えるノンフィクション。