そのうちだんだん不満がたまってきた。いや、クラスや先生に不満があるのではない、ただひたすら、自分に対する、自分の体に対する不満がたまって、もう少しはっきりと自分でわかる動きをしたい、もしやそれはズンバではないかと思うようになった時も時、なんと近所にズンバの教室ができたのを知った。徒歩三分、一回五百円だった。
というわけで、ズンバも始めました。
十年前は頭の中はぜんぶズンバだった。週に十二回行ってたこともある。少なくなっていったのは、夫の看取りで忙しくなったのと若い犬を飼い始めたからだ。それがクレイマーで、ズンバやってる時間があるなら、体力をもてあます若犬を散歩に連れていかねばと必死で外を歩いた。
それでも日本に帰ってくる五年前には週に二、三回通っていたのだった。帰国してすぐ近所のスポーツクラブに入ったが、そこのズンバは盆踊りみたいでおもしろくなく、ずるずると行かなくなり、そのうちコロナ禍になった。ジムも休館したし、再開したときにもマスク着用必須だった。それでいつまでも始める気になれなかった。
クレイマー、今八歳。すっかり落ち着いて前ほど外に行きたがらない。そしてチトーは引きこもりだ。つまりあたしが今何かと、体を動かすきっかけに出会うのも、元はといえば犬の老いに関連しているのか。そういえば十年前にズンバ熱が燃えさかったのも、前の犬が老い果てて散歩に行かれなくなったときだった。そんなときにメグという、身体能力はタコのようで、筋肉をどう動かすかをちゃんと言葉で説明してくれ、フェミニズムがしっかりと根底にある、ひとりの女のインスタラクターに出会ったのだった。