そしたら今度のズンバの先生。まるでメグが日本人になってあたしの生活に戻ってきたようだ。メグのように明るくて、さわやかで、開けっぴろげで、若くない女の肉体を熟知した筋トレ主体のズンバなのである。
しかしながら、あれから十年経っており、こちらの身体は十年分老いた。しかもここ数年はぜんぜん動いてなかったのである。
最初の日は、先生がいつもやっているプログラムをひととおりやった。汗で溺れそうになったが、バレエよりはだいぶ動けたと思った瞬間、先生は言った。
「いろいろわるいところがあるから直していきますよ」
望むところだってんで、今のところクラスは、他の人たちとの予定が合わなくて、ぜいたくにも、先生とOne on Oneだ。だからよけいにわるいところが目につくらしく、手の上げ方、伸ばし方、足の上げ方、伸ばし方、歩き方、箸の持ち方にぞうきんの絞り方、いちいち直され、そのたびに初めからくり返すから、一時間で二曲くらいしかできてない。でも汗はかく。ものすごくかく。