写真提供◎AC
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第49回は「人間関係の当たり前について」です。

「守るって何?」

ドラマ『こっち向いてよ向井くん』は、いい意味で裏切られた作品だった。てっきり甘々の純愛ものだと思っていたら、登場人物はみなたくましく、セリフはどれも示唆的で考えさせられる。そしてとてもフェミニズム的だった。登場する女性たちがみな、何かしら違和感を抱きながら生きているのだ。

主人公の向井くんこと向井悟(赤楚衛二)は、30代サラリーマンで実家暮らし。両親は仲が良く、妹夫婦も実家に同居している。

向井くんの妹、武田麻美(藤原さくら)は、結婚にまつわる様々なことに違和感を抱く。麻美の夫、武田元気(岡山天音)は大黒柱になろうと努力するし、稼ぎは多くないのに無理にマンションを買おうとする。マンションの見学では、担当者は妻である麻美ではなく、夫である元気に向かって話し続ける。

向井くんは10年前に元カノ・藤堂美和子(生田絵梨花)にフラれた理由を、「守ってあげたい」と伝えたときに、「守るって何?」と聞き返され、上手く答えられなかったからだと推察する。それに対し、向井くんの飲み友達・坂井戸洸稀(波瑠)は、「守りたいなんて言われたら、見下されてるなーって思っちゃいます」と言う。

美和子の叔母は、海外の山に登りに行くなどアグレッシブな人だが、美和子の父である亘(遠山俊也)は、独身の叔母を「孤独で悲しい人」と表現。それに葛藤する美和子は、結婚しなくてもひとりで自立して生きていける人に憧れ、長年付き合った彼氏にプロポーズされても断る。