ほかには「神踏切」に「悪虫道踏切」も

リストアップした踏切のうち行くことができたのはごく一部だが、北海道の「神踏切」(JR釧網本線)や宮城県の「無縁場踏切」(JR石巻線)のように深遠な意味がありそうなもの、富山県の「ドンドン踏切」(富山地方鉄道立山線)、福島県の「めがね踏切」(JR磐越西線)、青森県の「悪虫道踏切」(JR八戸線)のように謎めいたものなど、確かめてみたい踏切はまだまだ多い。

山手線にできた「高輪ゲートウェイ」のように格好をつけたがる駅名と違って、他人の目を意識しない踏切は質実剛健で「珍名度」も高い。

その永続を願うわけにもいかないが、これからも元気で安全を守ってほしいものである。

 

※本稿は、『地図バカ-地図好きの地図好きによる地図好きのための本』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


地図バカ-地図好きの地図好きによる地図好きのための本』(著:今尾恵介/中央公論新社)

「東が上」の京都市街地図/鳥瞰図絵師・吉田初三郎/アイヌ語地名の宝庫/職人技のトーマス・クック時刻表/非常事態の地図……著者は小学校の先生が授業に持参してきてくれた国土地理院の一枚の地形図に魅せられて以降、半世紀をかけて古今東西の地図や時刻表、旅行ガイドブックなどを集めてきた。その“お宝”から約100図版を厳選。ある時は超絶技巧に感嘆し、またある時はコレクターの熱意に共感する。身近な学校「地図帳」やグーグルマップを深読みするなど、「等高線が読めない」入門者も知って楽しい、めくるめく世界。