私は挑戦をやめなかった
発奮材料となったのが、父の敬三と次男の豪太だった。当時の父は99歳でモンブランでスキー滑走をしようと計画中だった。また、豪太はモーグルで長野オリンピックに出場した。オヤジとセガレはキラキラと輝いている。それに比べて私は何をやっているのか……。
こうして、私はトレーニングを再開し、70歳でエベレストに登頂するという目標を定めた。
それから、コツコツと5年をかけて体力、筋力を取り戻すことで、エベレスト登頂という目標を達成することができた。世界最高峰のテッペンで、世界最高の風景を見ることができた。
それは生まれたての地球を見ているような気分だった。不整脈も高血圧も完全によくなったわけではなかったが、さらに私は挑戦をやめなかった。
75歳、80歳でもエベレストに登頂し、80歳のときは世界最高齢の登頂ということでギネス世界記録に認定された。さらに、山頂には至らなかったが86歳でアコンカグアにも挑むことができた。
65歳のときに余命宣告を受けた私が、下を向いたまま人生を諦めていたら、おそらくとっくの昔にこの世にいなかっただろう。