牛窪さん「昔(昭和の時代)はお見合いや結婚相談所を通じた出会いなど、数人~数十人の中から相手を選べばよかった」(写真提供:Photo AC)
厚生労働省によると、2022年の日本の婚姻数は50万4930組だそうです。前年に比べやや増加しているものの、割合としてはあまり変わらないとか。マッチングアプリや婚活サービスは増加していますが、結婚する人があまり増えないのはなぜでしょうか? そんな疑問に答えてくれるのは、マーケティングライターの牛窪恵さん。牛窪さんは、「昔(昭和の時代)はお見合いや結婚相談所を通じた出会いなど、数人~数十人の中から相手を選べばよかった」と言っていて――。

未婚率が改善されない理由

マッチングアプリなど新たな出会いの機会創出は、未婚率の改善に繋がっているのでしょうか。残念ながら、必ずしもそうとは言えないようです。

国勢調査による年代別(5歳単位)の未婚率をみると、’20年、20~30代の男女で5年前より未婚率が顕著に下がったのは、30代後半(35~39歳)の男性のみで、それ以外の年代では男女共にほぼ横ばいか、むしろ未婚率が増加傾向でした(総務省「国勢調査」)。

また、婚姻件数や婚姻率(人口千対)全体を見ても、マッチングサービスがその数や割合の増加にさほど貢献していない様子が見えてきます。

共に新型コロナの感染拡大後(‘20年2月以降)である‘20年と‘21年の比較でも、婚姻件数は年間およそ2.5万組減(約52.6万組→約50.1万組)、婚姻率も0.2%減(4.3%→4.1%)と、増えるどころかむしろ減ってしまっていました(‘21年厚生労働省「人口動態統計」)。

つまり、アプリで出会って結婚する人たちは、婚姻件数全体に占める割合は増えている半面、カップル(既婚者)の“数”の増加には、さほど貢献していない可能性が高いのです。

一体なぜなのか、私は大きく3つ理由があるのではないか、と考えます。