「去年は、産後うつになってしまったり、母(松原千明さん)が亡くなったり、いろいろなことが起きた1年でした」(撮影=大河内 禎)
すみれさんの母で、女優の松原千明さんがハワイで亡くなったのは2022年10月8日のこと。64歳だった。同じ年に、息子の誕生という喜びと、母の死という悲しみを味わったすみれさんが見つめる、自分や家族の幸せとは(構成:篠藤ゆり 撮影:大河内 禎)

育児をしながら仕事もチャレンジ

『婦人公論』で取材を受けるの、8年ぶりなんですね。2022年に出産するまで、舞台に、テレビに、といろいろなお仕事をさせていただきました。日本に戻ってきたのは12年前ですが、そのころは日本語が上手に話せなかったり、聞き取れなかったり、日本らしいユーモアがわからなかったりしても、毎日がチャレンジで楽しかった。

最近の私は、育児中心の生活。息子がまだ1歳半なので、仕事はある程度セーブするようにしていますが、やっぱり私は舞台に立つことや映像のお仕事が好きなんですよね。

それで先日、久しぶりにミュージカルのオーディションを受けたんです。役のイメージが私と少し違っていたし、実際あまりうまくできなくて、落ちてしまいましたけど(笑)。でも、こういうチャレンジはずっと続けていきたいな、と思っています。

うちの夫は子どもが大好きな人なので、育児に協力的。それになにか問題が起きても、「ちゃんと2人で話し合って、その日のうちに解決したい」という私の性格を理解してくれています。だから友達から「喧嘩中で、もう3日も夫と口をきいていない」なんて聞くと、本当にびっくりしちゃう。(笑)

去年は、産後うつになってしまったり、母(松原千明さん)が亡くなったり、いろいろなことが起きた1年でした。でも家族がいることで、少しずつ明るい気持ちを取り戻せたような気がします。

母が亡くなって、もう1年なんですよね。お墓はハワイにあるので、命日は私がひとりでお寺にお参りしてきました。最初のころは母宛てにメールを打ってしまいそうになったこともあったし、いまでも、母がいなくなったという実感はあまりないです。

知らせを受けたのは、亡くなって数日経ってからでした。連絡をくれたのは、10歳下の弟のオリバー。母と再婚相手のポールさんとの間に生まれた子です。数日あとだったのは、オリバーとポールさんが私を気遣ってくれたから。

36時間かかった出産後、身体のダメージが大きくて、育児にも慣れなくて、しばらく産後うつになってしまっていたんです。オリバーとはときどき電話で話していたので、私の不調を察していたみたい。

タイミングを見計らいながら母のことを教えてくれたオリバーは崩れ落ちるくらい泣いていて、私もショックで叫び声をあげてしまいました。