「ZEN呼吸法」を書籍やレッスン、講演を通して伝えているZEN呼吸法呼吸アドバイザーの椎名由紀さん(撮影◎本社 奥西義和)
10代半ばから原因不明の頭痛や心身の不調に長年悩まされてきた椎名由紀さんは、江戸時代の禅僧である白隠禅師の呼吸法により健康を取り戻した。自身の体験から得た学びを「ZEN呼吸法」としてメソッド化し、書籍やレッスン、講演を通して伝えている。2024年1月24日(水)に、「ZEN呼吸法メソッド 自然な姿勢と呼吸で心を調える」CDを発売。苦難の半生と、呼吸法との出会いにより取り戻した“健康”の秘訣についてうかがった。(構成◎碧月はる 撮影◎本社 奥西義和)

16歳から15年間続いた体の不調

16歳から15年間の長きにわたり、原因不明の頭痛や心身の不調に悩まされてきた椎名由紀さん。過去に抱えていた不調と、当時の心境はどのようなものだったのか。

16歳の頃、突然原因不明の頭痛に悩まされはじめました。下を向くと余計に頭痛が悪化するので、学生時代は机に向かうことさえままならなかったですね。頭痛以外にも、倦怠感、低血圧、冷え性、便秘、肩こりなど、ありとあらゆる体の不調を抱えていました。太っていたことも悩みの種で、どんなに運動しても全然痩せられなかったんです。

大きな病院を何軒もハシゴして、鍼治療もカイロプラクティックも試しました。でも、どれも効果がなくて。施術中は気持ちいいのですが、帰る途中で元に戻ってしまう。どの病院に行っても、何の検査をしても「なんともない(異常はない)」と言われる。「いや、“なんともある“から来てるんじゃん!」と、病院の帰り道はいつも泣きじゃくっていました。

頭痛がはじまったのは16歳からでしたが、私はもともと極度の上がり症で、いつも体に力が入っている子どもでした。水泳部に所属していたのですが、水泳大会の本番などは特に大変でしたね。自分の番がきて名前を呼ばれている間、後ろで吐いていたんですよ。それぐらい緊張しいで、本番に実力を発揮できないタイプでした。

そうやってずっと自分の体に緊張を強いていたから、人より早く疲れちゃった。その結果、さまざまな症状が出てしまったのだと思います。

私が抱えていた症状は珍しいものではなく、頭痛をはじめとして多くの人が抱えているものです。だからこそ、みんな「これが普通」「しょうがない」と考えてしまう。まさに、私自身がそうでした。自分は呪われた体なのだと思い込んで、早くも10代にして健康になることを諦めていたんです。症状が辛すぎて生きているのが苦痛で、毎日どうやって死のうかと、そればかりを考えていました。でも、ZEN呼吸法に出会って、それが間違いであったことに気づいたのです。