24年4月より放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子のモデルは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんです。先駆者であり続けた彼女が人生を賭けて成し遂げようとしたこととは?当連載にて東京理科大学・神野潔先生がその生涯を辿ります。先生いわく「嘉子の談話はやや冷めた内容のようにも思える」そうで――。
新聞での報道と嘉子の本音
明大法学部卒業後の1938(昭和13)年3月、高等試験司法科を受験した嘉子は見事に合格。初めての女性合格者の一人となりました。そして当時の新聞は、「初の女性弁護士」の誕生を、大々的に報じました。
11月2日付の『東京朝日新聞』夕刊では、「“法服”を彩る紅三点、“女性の法律問題は女性が―”、弁護士試験・初の栄冠」という見出しで、3人の写真と談話とを掲載しました。
他にも、「初の女弁護士三人 合格発表 一年後には颯爽法廷へ」・「惨めな妻や母を敢然擁護」などという記事を、複数の新聞に見つけることができます。
当時の嘉子の談話は、まだ弁護士になったわけではない段階であるためか、喜びの中にも不安が入り混じったような、やや冷めた内容のようにも思えます。