年齢に関係なく好奇心旺盛で前向きな人は、どんな日々を送っているのだろうか。そのヒントを探るため、手作り作品や音楽に情熱を傾けるおふたりに話を聞いた(撮影=藤澤靖子)
夫のために大改装
声楽家として活動している服部雅子さんは、74歳。3人の息子は独立し、9年前に夫を介護の末に見送った。現在は東京近郊の団地で一人住まいだ。
社会学者の夫は55歳のときに心臓病で倒れた。60歳のとき、がんの手術を受けたところ、入院中に脳梗塞を起こし重篤な後遺症が残った。1年半入院していたが、長期療養型病院への転院を勧められる。
「でも私は嫌だと言ったんです。回復の見込みはゼロじゃないと思ったから。なんというか私、根が能天気で楽天家なんですね(笑)」
そこで病院と交渉を重ね、脳卒中のリハビリテーション科が充実している静岡県の病院を紹介してもらうことに。服部さんも浜松にマンションを借り、東京の自宅と車で往復しながら看病にあたった。しかしその病院にも長くはいられず……。
「主治医から、『自宅でご主人を看ることはできますか。可能なら準備のために1ヵ月入院を延ばしましょう』と提案されて。不安でしたが、自分の限界の〈ちょっと上〉まで頑張ってみようと思ったんです。何とかなりそうならやってみるのが私の性分ですので」