帝王切開、何が悪い?
自然分娩で、母乳育児。
これがお産の勝ち組なんだってこと、私はおよめちゃんのお産で初めて知った。およめちゃんが、とてもそれらを望んでいたから。
私は帝王切開で生まれたし、私の命を、おなかを切って守り抜いてくれた母を心から尊敬し感謝している。
おかげで64年間お産以外で入院したことのない健康な身体をもらったし、自分が帝王切開だったことで、人に引け目を感じるような思いをしたことは人生で一秒もない。
なぜ、帝王切開の産婦さんが、自然分娩でないことを引け目に思うのか、帝王切開児の立場からは、まったく理解できない。
声を大にして言うね。帝王切開、まったく問題なし!
もちろん、身体への負担は大きいし、いっそう大事にしてもらいたいけど、自然分娩に対して引け目に感じる問題点は一切ない。
たしかにとやかく言う人はいる。「帝王切開児は産道を通っていないので、忍耐が足りないのよね」と言われたことがある。
「あら、そう?私は帝王切開児だから、たしかに忍耐力は足りないのかもしれない(微笑)。一浪して志望校に入ったし、人類初の日本語対話型AIも実現したけど、すべて好奇心に導かれてやっただけだもの。忍耐力が足りなくて、30代半ばで会社も辞めたけど、けど、そのおかげで自分の会社を持ったから、今も現役でいられる。それらが全部、帝王切開児だったせいなのだとしたら、私は人生を帝王切開にもらったことになる。私は、もう一度生まれ変わってくるなら、同じ母から、帝王切開で生まれたい!」
――まぁいつもはそこまで戦闘的な気持ちにはならないけど、母に面と向かって帝王切開児を揶揄(やゆ)する人がいたら、私は、これくらいは言うよ。
だから、帝王切開で負けた気分になっている若い母たちには、このことばを伝えたい。
孫が帝王切開児なら、ぜひ、その母に言ってあげてほしい。