NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さん
(撮影:婦人公論.jp編集部)
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんによる『婦人公論』の新連載「老いの実況中継」。92歳、徒然なるままに「今」を綴ります。第18回は、【女の友情、仲間のすばらしさ】です。(構成=篠藤ゆり イラスト=マツモトヨーコ)

吉屋信子に光を当てた田辺聖子さんの小説

前回のこの連載で、NHK連続テレビ小説『虎に翼』について触れました。するとまわりの女性たちから、「『虎に翼』は、立場の違う女性たちが共通の目標に向かって手を携えていく、シスターフッドを描いたドラマだと思います」という声が聞こえてきたのです。

登場人物の女性たちは、考え方の違いや置かれている状況が原因で、時には距離が離れることもあるけれど、みんなが目指しているのは真に男女平等の社会だ、とも。

それを聞いて思い出した本があります。それは、田辺聖子さんがお書きになった『ゆめはるか吉屋信子-秋灯(あきともし)机の上の幾山河』です。

私は普段、それほど小説は読まないのですが、田辺聖子さんの小説は好きで時々読みます。なかでもこの評伝は、私にとって新鮮な発見がある作品でした。